仕事とマナー

気に入った人としか話さない上司の心理は?対処法とパワハラの境界線

仕事とマナー
この記事の要点
  • 気に入った人としか話さない上司は、素直さや相性で部下を選びがちです
  • 対処の基本は、業務の報告や相談を先回りして自分から取りにいくことです
  • 業務に必要な連絡まで外されるなら、パワハラの可能性があり相談できます

「同じチームなのに、上司はあの人にだけ楽しそうに話しかける。」そんな場面を見て、胸がざわついた経験はありませんか。気に入った人としか話さない上司のもとでは、自分だけ輪の外にいるような気持ちになります。

この記事では、上司がそうなる理由、パワハラ(立場の強さを使った嫌がらせ)になる境目、明日からできる対処法を順に解説します。架空の3年目社員のシミュレーションと、相談先の一覧も用意しました。

先に結論です。こうした上司の多くは「自分が話しやすいか」で相手を選んでいて、あなたの価値が低いわけではありません。上司の心理を知るだけでも、気持ちは少し軽くなります。

ただし、仕事に必要な連絡まで外され続けるなら話は別です。その場合は、記録を残して社内外の窓口につなぐ道があります。一人で抱え込む必要はありません。

「素直な性格」が59.7%で1位
  1. 気に入った人としか話さない上司とは?まず知っておきたい特徴と見分け方
    1. 上司のえこひいきが表れやすい4つの言動
    2. 上司に好かれていないサインは?話しかけられる場面で見分ける3つの目安
    3. 相性の問題か、問題のある態度か?上司が合わないときの4つの見分け方
    4. 上司のひいきが起きやすい職場の特徴3つ
  2. 気に入った人としか話さない上司の心理は?えこひいきが生まれる4つの背景
    1. 上司が部下をかわいがる理由は?調査で1位になったのは素直な性格
    2. 従順な部下を信頼しやすい?上司が地位への不安から偏る場合
    3. 上司の好き嫌いは評価基準に入り込む?言葉にされない基準の正体
    4. 上司の心理を理解しても我慢は不要——理解と受け入れは別もの
  3. 気に入った人としか話さない上司はパワハラ?仕事への影響と境界線を整理
    1. 上司が話してくれないと起きやすい仕事の困りごと3つ
    2. 厚生労働省が示すパワハラの3要件と6類型
    3. どこからがパワハラ?上司の無視や人間関係の切り離しを見分ける目安
    4. データで見るパワハラの実情:行為者は上司が約3分の2
  4. 気に入った人としか話さない上司への対処法|距離を縮める4つの行動とやってはいけない対応
    1. 上司への対処は記録から:日時と言動を事実だけ残す
    2. 上司とのコミュニケーションは、報告と相談を自分から先に届ける
    3. 上司に伝わりやすい伝え方の型を、場面別に比べる
    4. 上司の悪口など、やってはいけない3つの対応と失敗例
  5. 【シミュレーション】入社3年目Aさんが、気に入った人としか話さない上司と1か月で距離を縮める例
    1. Aさんのプロフィールと、上司に話しかけてもらえない困りごと
    2. 1週目:事実を記録し、朝の一言報告から始める
    3. 2〜3週目:10分の面談で、評価の基準を聞く
    4. 4週目:変わったことと変わらなかったこと、次の一手
  6. 気に入った人としか話さない上司に限界を感じたら?相談先と異動・転職の目安
    1. まずは社内で頼れる窓口:上司の上司・人事・コンプライアンス窓口
    2. 社外の相談先一覧:総合労働相談コーナーなど
    3. 上司が合わないと感じたときの異動・転職を考える3つの目安
    4. 上司との関係でつらいときの心と体のセルフケア
  7. まとめ
  8. よくある質問

気に入った人としか話さない上司とは?まず知っておきたい特徴と見分け方

気に入った人としか話さない上司とは、雑談や声かけ、情報共有を特定の部下に偏らせ、それ以外の部下とは用事があるときしか話さない上司のことです。

上司のえこひいきが表れやすい4つの言動

えこひいきは、大げさな態度よりも、日々の小さな差として表れます。次の4つが重なるなら、偏りが起きているサインかもしれません。

  • 話しかける相手が決まっている:朝のあいさつや雑談が、いつも同じ人に向く
  • 情報の渡し方に差がある:大事な連絡が、気に入った人にだけ先に伝わる
  • 会議での扱いが違う:特定の人の発言だけ拾い、ほかの人の意見は流す
  • 声のトーンが変わる:気に入った人には笑顔で、それ以外の人には事務的になる

一つだけなら、たまたまの可能性もあります。1か月ほど続けて観察すれば、同じ差が何度も出るかどうかが見えてきます。手帳に「誰に・いつ・何を話していたか」を短く残しておくと、あとで役立つはずです。

上司に好かれていないサインは?話しかけられる場面で見分ける3つの目安

Business Insider Japanの記事では、マネジメント・コンサルティング会社を創業したエイミー・クーパー・ハキーム博士の見解をもとに、上司に好かれていないサインを5つ紹介しています。そのひとつが、話しかけられるのが頼みごとや会議のときだけで、あいさつや雑談には反応が薄いという場面です。

記事は、上司が親友である必要はないとも述べています。ただ、ほかの部下にはフレンドリーなのに自分にだけ距離があるなら、上司の見方が表れているのかもしれません。会議で意見を遮られる場面も、サインのひとつに挙がっています。

  • 話しかけられるのは、頼みごとや会議のときだけだ
  • あいさつや雑談をしても、反応が薄い
  • 同じ場にいる他の部下とは、明らかに雑談が多い
  • 会議で意見を言うと、話を遮られる
  • 上の項目が1か月以上、何度も続いている

このチェックは診断ではなく、状況を整理するための材料です。次の項目で、単なる相性の問題なのかを分けて考えます。

相性の問題か、問題のある態度か?上司が合わないときの4つの見分け方

話さない上司のすべてが問題、というわけではありません。相性の違いなのか、放っておけない態度なのかを分けると、動き方が決まります。4つの観点で比べてみます。

観点相性の問題にとどまる例問題のある態度の例
業務に必要な連絡仕事の指示や報告は普通に通る必要な連絡や資料が自分にだけ届かない
雑談・声かけ雑談は少ないが、あいさつは返ってくるあいさつを無視される日が続く
仕事の機会担当や評価が、実績に沿って決まる実績と関係なく、機会から外され続ける
続く期間と心身への影響数週間で落ち着き、あまり気にならなくなる数か月続き、眠れない、出社がつらいなどの支障が出る

右の列に当てはまる項目が増えるほど、注意が必要です。とくに必要な連絡が届かない状態は、仕事そのものに支障が出るため、後ほど解説するパワハラの考え方とも関わってきます。

なお、この表は筆者が整理した目安であり、パワハラかどうかを決める基準ではありません。

上司のひいきが起きやすい職場の特徴3つ

個人の性格だけでなく、職場の仕組みも影響します。識学が20〜59歳の男女300人に行った調査では、特にかわいがっている部下や後輩がいると答えた管理職が48%いました。チームの人数が10人以上だと、その割合はさらに高くなっています。

評価の物差しがあいまいな職場も、偏りが生まれやすい環境です。評価の根拠を伝えるフィードバック面談(上司が成果や課題を部下と共有する面談)がないと、部下は上司がえこひいきしていると感じやすい、と人事系メディアのカオナビは説明しています。

他の人との比較で決める相対評価が強い職場も要注意です。最下位の評価を避けたい気持ちが全員に働くと、故意でなくても特定の人を避ける動きが生まれ、深刻になると無視や仲間外しにつながる、とHRプロの記事は指摘しています。

原因が職場の仕組みにある場合、上司個人を責めるだけでは解決しにくくなります。評価の基準を聞く場を持つことが、対処の入口になります。具体的な方法は後半で解説します。

気に入った人としか話さない上司の心理は?えこひいきが生まれる4つの背景

「なんであの人にだけ、あんなに楽しそうなんだろう」。そう考え込んだ夜があるかもしれません。理由を知っておくと、必要以上に自分を責めずに済みます。ここでは調査や専門家の話をもとに、4つの背景を見ていきます。

上司が部下をかわいがる理由は?調査で1位になったのは素直な性格

識学が行った調査で、特にかわいがっている部下や後輩がいると答えた管理職は48%でした。その理由を聞くと、1位は素直な性格で59.7%に上ります。

出典:識学「上司のひいき」に関する調査(20〜59歳の男女300人)

「素直な性格」が59.7%で最も多く、向上心(41.7%)、積極性(37.5%)が続いています。

2位は向上心(41.7%)、3位は積極性(37.5%)で、優秀だからという理由は34.7%でした。かわいがる部下の成績は良い側だと答えた上司が9割近くいる一方、決め手は実力だけではなさそうです。素直さは、指示や助言が伝わりやすいことの表れとも読めます。

従順な部下を信頼しやすい?上司が地位への不安から偏る場合

All Aboutに掲載された、舟木彩乃氏の著書『あなたの職場を憂鬱にする人たち』の抜粋では、上司は自分の意見を否定しない従順な部下を、信頼できると感じることがあると説明されています。背景には、職場での安定した地位を求める心理があるといいます。

紹介された事例では、実績のある30代の企画担当者が外され、従順な同僚が重く用いられました。周囲から評価される部下に、上司が自分の地位を脅かされる不安を抱いた可能性がある、という見立てです。

上司の好き嫌いは評価基準に入り込む?言葉にされない基準の正体

PRESIDENT Onlineの対談記事では、上司は客観的な成績だけで部下を見ているわけではなく、自分の仕事を一緒に進めてくれる人を選ぶ面がある、と語られています。会社の中には、好みが入り込む余地があるという見方です。

その基準は、礼儀やビジネスマナーなど、会社のルールに上乗せされる形で表に出ないことがあります。記事では、監督が代わるとレギュラーが入れ替わるプロ野球を例に、上司に合わせて努力するか、自分を大切にしてくれる職場へ移るかという選択肢が示されています。

上司の心理を理解しても我慢は不要——理解と受け入れは別もの

心理を知る目的は、上司をかばうことではありません。自分の価値が低いからではないと気づき、次の一手を冷静に選べるようになることです。

部署の業績に貢献する部下を優遇するなら、まだ理解しやすいでしょう。一方で、自分を気持ちよくさせてくれる部下だけを可愛がる例もあると、All Aboutの別の記事は触れています。どちらであっても、上司の好みは変えにくく、自分の動き方は変えられます。

上司の心理はあくまで傾向で、あなたの上司に当てはまるとは限りません。決めつけて態度に出すと、関係がこじれるおそれがあります。

気に入った人としか話さない上司はパワハラ?仕事への影響と境界線を整理

上司が話してくれないと起きやすい仕事の困りごと3つ

上司との会話が少ないと、最初に困るのは情報です。方針の変更や会議の背景を、あとから知ることになりかねません。

  • 情報が届かない:決定事項や背景を、周りより遅れて知る
  • 相談しづらい:質問や確認のたびに、緊張や遠慮が生まれる
  • 頼れないと感じる:悩みへのフォローが得られず、気持ちが孤立する

悩みや課題へのフォローがない状態も、負担になります。上司に頼れないと感じてストレスになる場合があると、ハタラクティブの記事は挙げています。

こうした困りごとが仕事や心の状態に響き始めたら、パワハラに当たる可能性がないかを確認する段階です。

厚生労働省が示すパワハラの3要件と6類型

厚生労働省は、職場のパワハラを次の3つをすべて満たすものと定義しています。優越的な関係を背景とした言動であること、業務上必要かつ相当な範囲を超えていること、働く人の就業環境が害されることです。

ここでいう優位性は、上司と部下の関係に限りません。先輩と後輩、同僚同士でも、立場や経験の差が背景にあれば当てはまる場合があります。代表的な行為は、次の6類型に整理されています。

類型主な内容
身体的な攻撃暴行や傷害
精神的な攻撃脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言
人間関係からの切り離し隔離、仲間外し、無視
過大な要求業務上明らかに不要なことや、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
過小な要求業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと
個の侵害私的なことに過度に立ち入ること

気に入った人としか話さない上司の場合、関係が深いのは人間関係からの切り離しです。仕事を与えられない状態が続くなら、過小な要求にも重なる可能性があります。各類型の具体例は、鹿児島労働局「みんなでなくそう 職場のパワーハラスメント」で確認できます。

どこからがパワハラ?上司の無視や人間関係の切り離しを見分ける目安

気に入った人としか話さないだけで、直ちにパワハラと言い切ることはできません。雑談の量に差があるだけなら、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとは判断されにくいでしょう。

一方、業務に必要な連絡を意図的に外す、あいさつを無視し続ける、自分だけ会議に呼ばないといった行為が長く続くなら、人間関係からの切り離しに当たる可能性があります。岩手労働局の相談窓口の案内でも、あいさつしても無視される例が、相談してよい場面として挙がっています。

パワハラかどうかは、言動の内容や回数、業務との関係など、個別の事情で判断が分かれます。自分だけで結論を出さず、記録を持って窓口に確認する方法が安全です。

データで見るパワハラの実情:行為者は上司が約3分の2

厚生労働省委託の令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間に勤務先でパワハラを受けた人は19.3%でした。令和2年度の31.4%からは下がったものの、約5人に1人が経験している計算です。この数字は無視に限らず、パワハラ全体の割合です。

出典:厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(令和2年度・令和5年度調査)

パワハラを受けた人の割合は、令和2年度の31.4%から令和5年度の19.3%へ下がりました。

パワハラを受けたと答えた人に行為者を聞くと、上司(役員以外)が65.7%で最多でした。受けた後に特に対応しなかった人がパワハラで3割を超えたという報告もあり、我慢して抱え込む人が少なくない実態が見えてきます。詳しい数値は、令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版・PDF)で見られます。

気に入った人としか話さない上司への対処法|距離を縮める4つの行動とやってはいけない対応

「明日もまた、あの空気の中で働くのか」。そう思う朝には、気持ちの整理だけでなく、実際に動ける手立てが要ります。ここでは、今日から試せる4つの行動と、避けたい対応をまとめます。

上司への対処は記録から:日時と言動を事実だけ残す

最初の一手は、感情ではなく事実を記録することです。DIMEの記事では、ハラスメントが疑われる場合に、言われた日時、場所、状況、その場にいた人を残すよう勧めています。認定の際の証拠になる場合があるためです。

書くのは、「上司が朝礼後に同僚とだけ5分話した」のように、誰が見ても同じに読める内容です。「無視された」「嫌われている」といった解釈は別の欄に分けると、冷静に読み返せます。厚生労働省の相談案内でも、日時や場所、言われた内容を整理して持っていくよう示されています。

上司とのコミュニケーションは、報告と相談を自分から先に届ける

気に入った人としか話さない上司は、話しかけられるのを待っていても、会話が増えにくい傾向があります。そこで、雑談ではなく仕事の報告を入口にします。朝の予定を一言伝える、進み具合を夕方に共有する、といった小さな接点で十分です。

報告は、結論、現状、相談したいことの順に短くまとめると、上司も返事をしやすくなります。数値や表で客観的に示す「見える化」は、上司に意見を伝える方法としてDIMEの記事でも紹介されています。感情論に聞こえにくいのが利点です。

上司に伝わりやすい伝え方の型を、場面別に比べる

伝え方を少し変えるだけで、返事の早さが変わることがあります。PRESIDENT Onlineの記事では、相手が何を望んでいるかを探すことが大切だと語られており、上司に合わせる努力も選択肢のひとつとして挙げられています。

場面伝わりにくい例伝わりやすい例
報告経緯を長く話してから、最後に結果を言う最初に結果を一言で言い、経緯は聞かれたら答える
相談「どうしたらいいですか」と丸投げする「A案とB案を考えました。Aで進めてよいですか」と選択肢を出す
意見「それは違うと思います」と正面から否定する「この点だけ気になっています。確認してもよいですか」と切り出す
依頼「お時間をください」とだけ言う「10分で足ります。木曜の午前はいかがですか」と日時を添える

表の右側は、上司にとって判断の手間が少ない形です。話しやすい部下と感じてもらうことは、媚びることとは別で、仕事を進めやすくする工夫だと捉えると、抵抗感がやわらぎます。

上司の悪口など、やってはいけない3つの対応と失敗例

つらいときほど、次の3つをやってしまいがちです。マイナビ転職の記事では、陰で上司の悪口を言うと、聞いた相手に警戒されて信頼を失うおそれがあると注意しています。愚痴が思わぬ経路で上司の耳に届く例もあります。

失敗例起きること代わりの対策
同僚に上司の悪口を言い続ける話が広がり、自分の信頼が下がる愚痴ではなく事実の記録として残し、話す相手は絞る
指示を後回しにして反抗的な態度を取る適応力が低いと見られ、評価が下がるおそれ指示は受け止め、疑問は確認の形で伝える
上司に話しかけるのをやめる接点がさらに減り、情報も届かなくなる業務の報告だけは自分から続ける

同じ記事は、指示を無視したり反抗したりすると、自分の評価を下げかねないとも指摘しています。腹が立つ気持ちは自然ですが、態度に出した分だけ、自分の立場が弱くなります。社内の同僚への安易な相談も、意図しない形で噂が広がる危険があるため、相談先は後ほど紹介する窓口から選ぶと安全です。

「どうせ私は嫌われているので」と、会議で発言をやめてしまう。上司に情報を渡さなくなるだけで、状況は変わりません。

【シミュレーション】入社3年目Aさんが、気に入った人としか話さない上司と1か月で距離を縮める例

ここでは、架空の会社員Aさんの1か月を例に、対処法をどう組み合わせるかを見ていきます。実際の結果は職場や上司によって変わるため、あくまで一つの流れとして読んでください。

Aさんのプロフィールと、上司に話しかけてもらえない困りごと

Aさんは入社3年目の27歳で、営業サポートを担当しています。上司のB課長は45歳で、同期のCさんとは毎朝のように雑談していますが、Aさんには指示を伝えるときしか声をかけません。

Aさんが困っているのは、会議で出した意見をB課長が流し、Cさんの一言にだけうなずく場面です。必要な資料は共有されるため、パワハラとまでは言い切れず、我慢を続けていました。最近は日曜の夜になると、気が重くなります。

1週目:事実を記録し、朝の一言報告から始める

Aさんはまず、手帳に事実だけを書き始めました。「月曜9時、B課長は会議前にCさんと3分雑談。私にはなし」のように、感想は書きません。数日分たまると、偏りが実際にあるのかを、自分の目で確かめられました。

同時に、始業後に「今日は見積書を2件仕上げます。優先の変更があれば教えてください」と一言伝える習慣を作りました。雑談ではなく仕事の話なので、B課長も返事をしやすく、1週目の終わりには「了解」と返る日が増えていきました。

2〜3週目:10分の面談で、評価の基準を聞く

2週目、AさんはB課長に、日時をつけて10分の面談をお願いしました。フィードバック面談(上司から成果や課題を伝えてもらう面談)の代わりになる場です。聞いたのは、今期の自分の課題と、報告の仕方で助かる点の2つだけでした。

好き嫌いを責める形ではなく、評価の物差しを教えてもらう形にしたため、B課長も答えやすかったようです。報告は結論から、という希望が分かり、Aさんは次の日から報告の型を変えました。

「お忙しいところ恐れ入ります。今後の進め方について、来週の木曜午前に10分だけご意見をいただけませんか。」
日時を添え、目的を短く伝えると、上司も予定を決めやすくなります。

4週目:変わったことと変わらなかったこと、次の一手

項目1か月前4週目
業務の会話指示を受けるときだけ朝の報告に返事が返る
評価の基準分からない報告の型と課題を教えてもらった
雑談ほぼなし相変わらず少ない
Aさんの気持ち日曜の夜に気が重い動ける手立てがあり、少し楽

1か月後、仕事の会話は増えたものの、雑談はCさん中心のままでした。ここは上司の好みが絡む部分で、Aさんの努力だけでは変えにくい領域です。それでも、何をすればよいかが分かったことで、気持ちの負担は軽くなりました。

次の一手として、Aさんは記録を続けながら、必要な連絡が外される場面が出たら、B課長の上司や人事に相談すると決めました。動く順番と判断の基準を持てたことが、この1か月の一番の収穫です。

気に入った人としか話さない上司に限界を感じたら?相談先と異動・転職の目安

「もう限界かもしれない」と感じる日があっても、その気持ちは自然な反応です。慌てず動けるよう、相談先と判断の目安を先に知っておきます。

まずは社内で頼れる窓口:上司の上司・人事・コンプライアンス窓口

事業主には、職場のパワハラを防ぐため、相談窓口を置くなどの措置を取る義務があります(労働施策総合推進法)。福岡県の案内でも、まずは総務や人事にある社内の相談窓口に相談する流れが示されています。労働組合に入っている場合は、そちらも選べます。

上司の上司に相談する方法もあります。会社や上司の事情を知る人なら話が伝わりやすく、助言も期待できると、oggi.jpの記事は述べています。ただし、社内の人への安易な相談は噂につながるおそれがあるため、相手は絞り、記録を添えて事実を伝えます。

社外の相談先一覧:総合労働相談コーナーなど

会社に窓口がない、相談しても取り合ってもらえない、不利益がありそうで言い出せない。そんなときは、社外の窓口を使えます。厚生労働省の案内では、会社のある場所の労働局か労働基準監督署に総合労働相談コーナーがあり、電話でも相談できるとされています。

相談先内容連絡先・受付
総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署内)パワハラを含む労働問題全般。予約不要最寄りの労働局・労働基準監督署で確認
みんなの人権110番(法務局)パワハラを含む人権問題全般0570-003-110(平日8:30〜17:15)
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省委託)夜間・土日祝も対応、13言語対応0120-811-610(平日17:00〜22:00、土日祝9:00〜21:00)

相談の前に、日時、場所、言われたこと、誰に言われたか、その場にいた人の5点を整理しておくと、話がスムーズに進みます。詳しくは、厚生労働省「あかるい職場応援団」の相談窓口のご案内で確認できます。受付時間や番号は変わることがあるため、利用前に公式情報を見てください。

国家公務員、地方公務員、公立学校の教員は、人事院、人事委員会、教育委員会など、別の窓口が案内される場合があります。所属先の人事担当部署にも確認してください。

上司が合わないと感じたときの異動・転職を考える3つの目安

Business Insider Japanの記事では、上司の扱いが明らかに他の人と違い、居心地の悪さが心身に悪影響を及ぼしているなら、別の仕事を探し始める時期かもしれないと指摘しています。転職は逃げではなく、選択肢のひとつです。

  • 心身に影響が出ている:眠れない、食欲が落ちる、出社前に動悸がするといった状態が続く
  • 記録と相談をしても変わらない:社内外の窓口を使っても、改善の兆しが見えない
  • 数か月単位で続いている:一時的ではなく、業務の連絡や仕事の機会からも外されている

耐えられないなら転職も検討する、という考え方はハタラクティブの記事にもあります。一方で、辞める前に部署異動を希望する道もあります。人事に伝えるときは、上司への不満ではなく、記録した事実と、どう働きたいかを軸にすると通りやすくなります。

上司との関係でつらいときの心と体のセルフケア

ストレスは抱え込むほど大きくなると、oggi.jpの記事は伝えています。誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなることもあり、入浴で体をゆるめる方法なども紹介されています。

眠れない日や食欲の乱れが数日で終わらず続くときは、我慢せず、医療機関に相談してください。厚生労働省の「こころの耳」では、メンタルヘルスの情報と相談先を確認できます。

まとめ

気に入った人としか話さない上司は、素直さや従順さ、自分と仕事を進めやすいかどうかで、相手を選ぶ傾向があります。調査では、かわいがる理由の1位は素直な性格でした。あなたの価値が低いから、という話ではありません。

ただし、雑談が少ないことと、業務に必要な連絡を外すことは別です。後者が長く続くなら、人間関係からの切り離しに当たる可能性があり、記録を持って窓口に相談できます。

動くときは、事実の記録、自分から先に届ける報告、伝え方の型、評価基準を聞く面談の順に使えます。悪口や態度に出す対応は、自分の立場を弱くするため、避けたい行動です。

それでも心身に影響が出るなら、異動や転職も含めて選べます。まずは今日、手帳に今日の事実を1行だけ書くところから始めてみてください。

よくある質問

Q
上司に直接「なぜ私とは話してくれないのですか」と聞いてもよいですか?
A

責める聞き方は、関係をこじらせるおそれがあります。まずは「報告の仕方で直せる点はありますか」と、仕事の話として聞く形が向いています。答えが得られない場合や、必要な連絡が外される場合は、記録を添えて窓口に相談する流れに切り替えます。

Q
同じ職場の同僚に相談してもいいですか?
A

話を聞いてもらうだけで楽になる面はありますが、DIMEの記事は、社内の人への安易な相談が意図しない噂につながる危険を挙げています。相手は信頼できる少人数に絞り、上司の悪口ではなく、事実と困りごとを中心に伝えると安全です。

Q
気に入られるために、ごますりをするべきですか?
A

ごますりまでは求められません。上司が話しやすいと感じる報告の型や、結論から短く伝える工夫を取り入れる程度で十分です。自分の意見を曲げてまで合わせる必要はなく、合わせても改善しないなら、相談や異動も選択肢に入ります。

Q
パートや契約社員、公務員でも相談できますか?
A

パワハラの対象となる労働者には、パートや契約社員などの非正規雇用も含まれます。一方、公務員や公立学校の教員は、総合労働相談コーナーの対象外となる場合があり、人事院や人事委員会、教育委員会などの窓口を案内されることがあります。

Q
相談したことで、会社から不利益を受けませんか?
A

相談したことを理由にした不利益な取り扱いは、法律で禁止されています。それでも不安なときは、社内より先に、社外の総合労働相談コーナーなどへ相談し、進め方を確認する方法もあります。相談時は、記録した事実を持参するとスムーズです。

Q
部署異動を希望するのは逃げになりますか?
A

逃げではありません。上司との関係が仕事の成果や心身に影響しているなら、環境を変えるのは現実的な選択です。上司への不満ではなく、記録した事実と、どんな仕事で力を発揮したいかを軸に人事へ伝えると、話が通りやすくなります。

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